腹話術伝道の学び

No.11「二人の会話」

「わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合うこと、これがわた しの戒めです。」

ヨハネ15:12

腹話術とは、多くの場合(声だけの演出は別として)術者が人形を使って演じるものです。と いうことは、あくまでも二人の違った存在が語り合っていることになります。ところが、多くの 腹話術師が“ひとり語り”をしているのを見かけます。それはどういうことかというと、術者が自 分ひとりで話したい話をしていて、時々人形に台詞を振り分けて語らせているだけ、という状態 のことです。これを私は「1本線の会話」と名づけています。これは、厳密には腹話術とは言え ません。腹話術はあくまでも「2本線の会話」でなければならないのです。時々「腹話術は漫才 のようなものだ」と言われますが、それはこの点を強調したいからでしょう。(本当は漫才とも 違いますが・・・)

そういうわけで、今日は、台本書きの時点から、「二人の会話」になるように、注意すべきこ とをいくつかあげてみましょう。

  • 話のテーマはひとつに絞ります。二人で話すにしても、あくまでもテーマはひとつですか ら、それが何であるかを明確に文章に書き出してみましょう。(例:つまずきから立ち直る)ま た、聖書台本であれば、中心聖句なども決めておきます。
  • テーマに対して、術者と人形、それぞれの考え方の違いや受け止め方の違いを考えましょ う。そのためには、人形の性格やおいたちや、経験など、すなわちキャラクター設定が非常に大 切です。それと、術者自身の経験や考え方も明確であることが必要です。(「知識として何を教 えるか」ではなく)
  • そのテーマに対して、術者か人形か、どちらが会話の主導権をとるかを決めます。一般的 には、術者の場合が多いですが、人形が話を切り出したり、問題提起をすることもおもしろい構 成になります。
  • ストーリー展開としては、アウトラインは必須ですが、術者が初めから自分の言いたいこ とを全部ならべてしまうと、人形の立つ瀬がなくなり、おしつけがましいお説教に終わってしま います。腹話術はあくまでも会話ですから、ひとつひとつの会話がキャッチボールになっていな ければなりません。そして、その相手の台詞に互いに“初めて聞いた”ように、驚いたり、笑った りしながら、次のフレーズに進んでいきます。
  • 術者と人形の互いの間に「愛の関係」が感じられるような、あたたかいムードが大切で す。それは、人形がどんなに的外れなことを言っても、「愛によって真理を語る」術者であり、 あるいは人形の鋭い質問にタジタジとなる術者であっても、互いに、神様の愛と赦しのゆえに受 け入れ合っているという雰囲気のことです。これこそ「ゴスペル腹話術」の真髄であると思いま す。
  • 「腹話術の主役は、あくまでも人形」と心得ましょう。話の最後は人形に花を持たせるこ とのほうが、観客の心をひきつけます。観客は、術者の言うことより、人形の言うことの方を聞 いているのです。ですから、人形に話の腰を折るような冗談を言わせないことはもちろん、むし ろ人形が何かを発見したり、悟ったりしたら、それこそ、大きなメッセージになること必定です。
  • 最後に歌を歌ってまとめる場合では、術者が良い声を響かせるよりも、人形が最後のフ レーズを歌います。なお、腹話術で歌を歌う場合は、必ずしも声楽的な美声と正確な音程が必要 であるわけではありません。もともと、音程は楽譜どおりにはなりませんし、あまりうまく歌っ てはおもしろみがなくなる場合もあります。時には、人形が指揮をして、観客が歌ったりする と、「一緒に歌った」というムードになり、効果的です。
  • 物語的な台本で、術者と人形がある人物(や動物)を演じるような場合は、登場人物を最 低限にして、ひとりで何役もしないようにしたほうが良いでしょう。また、どこから直接話法に 入ったのか、出たのか、境目がはっきりわかるようにしましょう。(たとえば「迷子の羊」など はミュージカル調に演じることができますが、話が終わった後に、いわゆる“解き明かし”を延々 としてしまうと興ざめとなりますから、適用は話が終わらない内に、タイミングよく、語ってい くことが大切です。)
    

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