腹話術伝道の学び

No15「人形の気持ちになる」

「自分のことだけではなく、他の人のことも顧みなさい。」

ピリピ2:4

前回は、「人形が生きるために」どういうふうに接したら良いかということを学びました。今 回は、具体的に、人形をどう動かしたら「生きている」ように見えるのか、ということを考えま しょう。

短刀直入に、結論から申し上げると「人形の気持ちになる」ということです。 人間関係においても、よく言われるではありませんか。「相手の立場に立って物事を考えてくだ さい」と。

そもそも術者は、自分のことばかり考えやすいものです。確かに、腹話術は“一人”でやってい る芸ですから、すべてのことは自分で考えなければならないのは当然なのですが・・・しかし、 いつまでもそういう発想をしていたら、あなたの腹話術は初心者のままでしょう。「術者と人形 (パペット)」がいて、初めて腹話術は成り立つのであり、その意味では、絶対に“二人”でやら ないといけないのです。(もちろん、パペットを2つも3つも使う人は、さらに“三人”“四人”と なるわけですが。)

そこで、「人形の気持ちになって」操作するために、どんなことに留意したらよいかをいくつ か述べてみたいと思います。

人形の「私は誰か」に耳を傾けてください

つまり、人間の姿をしているか、動物か、あるいは花や物体か・・・それが第一に大切なこと です。人間なら人間のように動きます。次には、男の子か、おじさんか、おじいさんか、という ことも重要です。さらに、どんな性格かということを考えると動きに特徴が出てきます。動物な ら、実際に生きた動物を観察することが一番でしょう。身近にいないなら、動物園にまで出かけ ていきましょう。何をしゃべらなくても、動きだけで、何の動物かわかるほどに、特徴をつかむ ことが大切です。

人形の「可能性と限界」を受け入れてください

人形には、独特の「つくり」があります。たとえば、人間のかたちをしたパペットだとして、 全体の身長、手足の長さ、それに背中から手を入れるか、下の方から手を入れるか等、そのパ ペットの作られた姿というものは決まっています。ですから、それを受け入れて、「この子はこ うだから、こういう動きができる」という動きを徹底的に研究してほしいのです。そのために は、人間のように、身体の各部分がどう動くか、それが組み合わさるとどうなるか・・・という ふうに、様々な可能性を考えて、鏡の前で研究し、その姿を自分の脳裏に焼き付けておくことで す。コンピューターのように、頭にどれだけ情報が入っているかによって、とっさの動きが引き 出されるのです。

人形の「心」に配慮しましょう

人形にも「心」(感情や意志)というものがあります。人形は、“動かされる”より“動きた い”のです。自分の意志で、自分の感情のままに、主体的に言動したいのです。もちろん、術者 にも術者なりのその日の気分や体調がありますが、それに流されて、人形まで巻き添えにしない でください。人形は、あなたとは別人格なのですから、人形のことは人形自身に委ねなければな りません。

そのためには「怒っているときはいつもこうする」のではなく、表情豊かになるように育てなけ ればなりません。

「台詞との一体化」を考えましょう

繰り返しますが、人形には人格があります。動きの研究といっても、台詞とかけ離れたところ で、ただ動かしても人形を生かすことはできません。動きが「ことばと感情」を表現するものと して一体化したとき、トータルとして、人形が生きてくるし、話ももりあがってくるのです。そ れには、まずは、5分前後の短い台本を書き、「ここでは、この動きを入れる」というふうにト 書きをしてみましょう。そして、台本を暗記してから、ト書きどおりに動かしてみることです。 そうしているうちに、もっと良い動きを思いついたら、ト書きを変更していきます。けれども、 この作業をしているうちにきっと気がつくことがあると思います。それは「人形の動きを考えら れない台詞がある」ということです。そうです。人形の気持ちを表現しようにも、気持ちが出て いない台詞ではどうにもなりません。やっぱり「台本(台詞)が命!」なのですヨ。

2012年9月21日

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