腹話術伝道の学び

No.43「人形の台詞に合った動き」

「見よ。わたしのしもべたちは心の楽しみによって喜び歌う。しかし、あな たがたは心の痛みによって叫び、たましいの傷によって泣きわめく。」

イザヤ書65章14節

私たち人間の心は深く、陰険でもあります。本音と建て前をいとも上手に 使い分けることもできます。ですから、心と顔や身体の表現がいつも一致し ているとは限りません。現実には、“顔で笑って心で泣いて”ということも大 いにあるでしょう。しかし、このありようを腹話術にそのまま適用してしま ったら、これは大変やっかいな問題になってしまいます。術者も人形も“本心 を偽る”なら、観客の人々は困惑するからです。もちろん、“偽っていること がわかるように演じる”ことができるなら、その人は腹話術のプロに違いあり ませんが、ここでは、アマチュア腹話術師のみなさんのために、もっと素直 に表現する方法を考えたいと思います。

腹話術で一番難しいのは「台本作り」ですが、その次には「人形操作」で す。いえ、これはむしろ車の両輪かもしれません。どんなに台本が良くて も、それを表現する力がなくては、観客の心に訴えることはできませんし、 人形の動きが良くても、台本の内容に問題があるなら、意味のない腹話術に なってしまいます。そこで、今回は、「人形の台詞に合った動き」を研究す るための6つのステップをあげてみましょう。

短い台本を作成する

物語を感動的に表現する方法を学ぶためには、まずは、短い台本を作るこ とから始めましょう。3分から5分位のものが適当です。そうすると、話の 全体の流れを容易に把握することができますし、起承転結や、クライマック スなどが構成しやすいものです。題材は短い聖書のたとえ話などでもよいで すが、ストーリー性があって、登場人物の感情が豊かに表現できそうな短い 童話とか昔話、絵本などが適当でしょう。もちろん、心を揺さぶられた信仰 の証しなどでもかまいません。

台本読みの練習をする

台本がほぼ仕上がったら、原稿を人形を持たずに読みあげてみましょう。 特に、クライマックスに向かってのリズムやスピード感と最後のおち(教 え)を意識しながら、繰り返し練習します。術者と人形の台詞が “選ばれた ことば”になっているかどうか確認して、できるだけ無駄なく簡潔にしてくだ さい。

台本を暗記する

人形に動きをつけるには、まずは台本を完全に暗記していなければなりま せん。(短い台本ならば、細部まで正確に覚えることができます。)台詞の 語尾にいたるまで、厳密に覚えてください。

人形の台詞に動きを考えてト書きする

人形の動きは、ただ漠然と、なんとなく動かしていては、身につきませ ん。メリハリのある動きを考えて、台詞の後にト書きしていきます。人形の 感情を豊かに表わすにはどうしたらよいか、色々な動きを研究してくださ い。(基本的な動きの種類については、テキスト『腹話術の基礎』15,16ペー ジを参考にしてください。)この際、人形だけでなく、術者の表情や、左手 の動きなども一緒に考えることが大切です。

鏡の前で練習する

    

腹話術は、観客あっての演技です。自分の表現が、相手にはどう見えるか ということがわからなくてはなりません。そのためには、自分と人形の両方 がしっかり映る姿見の前で練習して、動きの確認をしてみましょう。この仕 上げの段階では、全体の台詞と術者及び人形の動きがリズム良くマッチし て、自分でも心地よく演じられるかどうかが重要です。

何度でも実演する

    

短い台本なら、色々な場面で実演ができるはずです。恐れずに どこにでもでかけ、誰の前でもやってください。そして、観客か ら感想を聞いてみてください。自分が一番訴えたいことがはっき り伝わっているかどうかを確かめるのは、本番によってのみで す。人形の台詞や動きの研究も、ただその目的のためにやっている陰の努力 にすぎないのですから。

2017年9月22日

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